14

次の日の朝、好美と安藤は待ち合わせをして、一緒に学校に向かった。


そこにはもう、暗い顔をした好美はいなかった。




どこにでもいるような女子高生の笑顔がそこにはあった。


相変わらず父親は冷たく好美にあたっていたが、そんな事はもう気にならなくなっていた。




心を許せる友達を見つけた好美の目には、希望が生まれていた。


今はまだ見つからない夢も、きっと見つかる。




根拠は何も無いけれど、好美の心にもう迷いは無かった。




「遅刻しそう、急ごう」




好美が急いで走り出そうとした時だった。


安藤の前から好美が消えていった。




安藤の視線の先には、もう好美はいなかった。




「好美ちゃん?」




安藤はすぐに状況を把握する事は出来なかった。




「もしかして……?」




安藤はふと思った。




「地獄……通信……」




二人がいた場所から少し離れた先に、高笑いをする一人の女子高生。




「落ちぶれたあなたはいらない。あなたはずっとトップでいなければいけないの」




そこには、あの佐藤が立っていた。


憧れ以上の崇拝にも似た感情を持っていた佐藤は、成績が下がり落ちぶれていく好美を見ていられなかったのだ。

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