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そして、安藤は胸に刻まれた刻印を見せて、そっと好美の手を取った。




「これが私が地獄に行く証。相田さんはこんな事をしちゃだめだよ」




好美は安藤の全てを知った。


大変な日々を送りながらも、強く生きている安藤。




その覚悟の強さを好美は知った。


ただ勉強をしていただけの自分が勝てなかった理由が分かった気がした。




勉強を楽しいと思った事も、何のために勉強をしていたかも忘れてしまっていた。


強い意志を持って勉強している安藤。




その強さを知った好美は、地獄に流さなくて良かったと安心した。




「こんなもの、もういらないね」




好美は、バッグから藁人形を取り出し、屋上から投げ捨てた。


藁人形はひらりと舞いながら、すうっと消えていった。




「私も安藤さんに負けないように目標を見つける。一緒に頑張ろう」




好美は、初めて友達を感じた。


誰かに憧れた事も初めてだった。




振り返った安藤が、そっと好美に手を差し出す。


安藤と重なった日の光が、好美には希望の光に見えていた。




安藤がした事は、確かに罪なのかもしれない。


しかし、そうせざるをえなかった気持ちは、好美には理解できた。

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