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そんな風に思っていた安藤の話を聞いて、好美はますます自分の小さな自分が情けなくなっていた。




「安藤さん、私ね……私ね……」




なぜか好美は涙が溢れてきていた。


勝手に怨みをぶつけていた事を、隠していられなくなっていた。




「私ね…これであなたを地獄に流そうとしていたの……ごめんなさい。ごめんなさい」




好美は溢れる感情を抑えられなかった。


そんな好美の手を、安藤は優しく握った。




「ごねんね相田さん。私がそんなにあなたを追い詰めてしまったなんて。ごめんね」




しばらくの間、二人は泣き続けていた。


落ち着いてきた頃、安藤がすっと立ち上がった。




「相田さん、私を地獄に流さなくて良かったね」




「え…?」




安藤は、ゆっくり自分の過去を話し始めた。


小さい頃、激しい父親の虐待に耐えていたこと。




仕事もせずにふらふらしては、酒に酔って母親を殴り飛ばしていた事。


そして、耐え切れなくなった安藤は、父親を地獄に流した事を。




「相田さん、私はもう地獄に行く事が決まっているの。でもね、私は必死に勉強して、お母さんの病気を治したいの、だからそれまでは地獄に行けない。それに、地獄に行くのが決まっている私を地獄に流して、相田さんが地獄に行く必要は無いわ」

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