町営住宅の部屋はいつも真っ暗で、安藤が帰宅した後、部屋の明かりは深夜までついていた。




好美が知らなかった安藤の私生活。


自分とはまったく違う。




激しい怨みの炎に包まれていた好美も、監視をする間にどんどん安藤の事が純粋に気になってきた。




授業中はいつも眠そうにしていて、時には熟睡をしている安藤。




それは深夜まで遊んでいるからだと思っていた。


どうしても好美には成績と私生活が一致しないと考えていた。




そして好美は気がつく。


深夜までついている明かりは、安藤が遅くまで勉強をしているのだと。




そんな姿を見るうちに、好美の怨みの炎は静かになっていった。


逆に、こんな事をしている自分の姿を醜く感じていた。




「自分はいったい何をしているのだろう」




そんな疑問が、好美の心に芽生えていた。


そしてある日曜日、好美は安藤がいつも通っている病院にいた。




好美はそこで安藤の姿を発見する。


満面の笑顔の安藤は、車椅子を押していた。

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