7
夢だったのか。
だが、好美の手にはしっかりと黒い藁人形があった。
「これであいつを地獄に流せる。あいつさえいなければ……」
好美はその日から、片時も藁人形を離さなかった。
その気になれば、いつでも地獄に流せる。
好美は、その日から、安藤を地獄に流すチャンスを見つけるために、放課後は常に安藤を監視した。
二人きりになれる場所を探し、自分の目の前で地獄に流すために。
安藤は、いつも学校が終わると誰先に家に帰っていた。
好美は気づかれないように、しっかりと距離を置きながら、安藤の行動を監視していた。
学校では見せない安藤の姿があるはず。
きっと凄い塾や家庭教師がいるに違いないと好美は考えていた。
しかし安藤が向かった先は、病院だった。
さすがに病院の中に入っていけず、好美は安藤が出てくるのをじっと待っていた。
しばらくすると、安藤は病院から出てきた。
家に帰るのかと思ったら、安藤はガソリンスタンドに向かっていった。
安藤はアルバイトをしていた。
とてもきつそうな仕事。
それでも、油まみれになりながらも安藤は笑顔で仕事をしていた。
まじめに働く姿は、学校にいる安藤とは別人に見えた。
監視を始めて2週間。
安藤の生活はほぼその繰り返しだった。
家に帰宅するのはバイトが終わる10時過ぎ。
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