いつもと変わらない表情の好美。


國本は心配そうな顔で好美の背中を見つめている。




「國本先生、そんなに気になりますか?」




そんな國本に、出勤してきた曽根が声をかける。




「あっ曽根先生。いえ、そう言うわけじゃ」




國本は少し恥ずかしそうに曽根に挨拶を返す。




「まぁ生徒の事を真剣に悩むのが先生の良いところですけどね」




曽根は、そう言って校舎のほうへ向かった。


登校の時間が過ぎ、國本も職員室へ向かった。




その頃、教室に入った好美は、静かに授業が始まるのを待っていた。


みんなが、転校生の噂をしている。




気にしないそぶりをしながらも、好美は内心ドキドキしていた。


もしかしたら自分を脅かすほどの存在があらわれるかもしれない。




好美はそんな心を周囲に悟られないように、参考書を開いていた。


自分が負けるはずは無い。




そう言い聞かせていた。




「ホームールームを始めるぞ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る