11
「相田さん」
そんな好美に、今や自分を抜いた憎き安藤が声をかけてきた。
好美は何も言わず、安藤の目を睨んだ。
「あっ相田さん、やっぱり凄いですね。今回はギリギリ勝てたけど、次は負けちゃうかも。次も頑張らないと」
睨みつける好美にも、無邪気な笑顔で接してくる安藤。
しかし、純粋に友達になろうとした安藤の態度は、好美には届かなかった。
安藤からは、勝者の余裕が感じられた。
安藤は以前の学校でも、トップを維持していた。
しかし、好美とは違い、圧倒的な点数によって孤立する事に耐えられずにいた。
そして親の事情で転校してきたこの学校で、初めて競える相手に出会った喜びを感じていたのだ。
「一緒にしないで……」
そんな安藤の思いを理解できず、好美はそのまま家に帰宅した。
部屋にそのまま入り、電気もつけずベッドに潜った好美。
悔しさだけが好美を支配していた。
こらえていた涙がとめどなくあふれてくる。
真っ暗な部屋には、好美のすすり泣く声だけが響いていた。
「好美」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます