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「相田さん」




そんな好美に、今や自分を抜いた憎き安藤が声をかけてきた。


好美は何も言わず、安藤の目を睨んだ。




「あっ相田さん、やっぱり凄いですね。今回はギリギリ勝てたけど、次は負けちゃうかも。次も頑張らないと」




睨みつける好美にも、無邪気な笑顔で接してくる安藤。


しかし、純粋に友達になろうとした安藤の態度は、好美には届かなかった。




安藤からは、勝者の余裕が感じられた。


安藤は以前の学校でも、トップを維持していた。




しかし、好美とは違い、圧倒的な点数によって孤立する事に耐えられずにいた。


そして親の事情で転校してきたこの学校で、初めて競える相手に出会った喜びを感じていたのだ。




「一緒にしないで……」




そんな安藤の思いを理解できず、好美はそのまま家に帰宅した。


部屋にそのまま入り、電気もつけずベッドに潜った好美。




悔しさだけが好美を支配していた。


こらえていた涙がとめどなくあふれてくる。




真っ暗な部屋には、好美のすすり泣く声だけが響いていた。




「好美」

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