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好美が周囲を見ると、すでにざわめきが起こっていた。
入学してから揺るがなかったトップの座。
それが、転校生によって破られた。
この話題は、一気に学校中に知れ渡った。
好美が呆然としながら自分の席に座っていると、そこに安藤が登校してきた。
すでに、教室に入る前から安藤の周りには人だかりが出来ていた。
転校してきた日のインパクト。
そして噂どおりだった成績。
それでも、好美は納得する事が出来なかった。
-あんな努力もしないような子がなんで……?-
好美は、何度も心の中で問いかけていた。
点数で言えば5点差。
ほとんど差は無い。
しかし、1位と2位の間には大きな隔たりがあった。
「相田さん、今回はちょっと調子が悪かっただけですよね?」
そんな好美に声をかけてきたのは、佐藤だった。
佐藤にまで慰められてる自分。
好美は情けなくて仕方なかった。
今にもこぼれそうな涙をこらえて、好美はうつむいたまま、表情を隠すように一日を過ごしていた。
とても長い一日だった。
帰りのホームルームが終わり、好美は逃げるように教室を後にしようとした。
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