窓際の好美の斜め前の席だった。




「はい」




はっきりとした返事をして、安藤が席に座る。


その後ろで、好美は鋭い視線で安藤を見ていた。




-なんでこんな子が?-




そんな疑問を、好美だけじゃなくクラス全員が感じていた。


とても勉強が出来るタイプには見えなかった。




成績の良さは見た目では分からないが、少なくともクラスの常識を超えていた。


まじめな格好をしている子がみんな頭が良いわけではないが、少なくとも頭の良い子達はきちっとした格好をしているもの。




校則があまり厳しくないこの学校でも、それをわざわざやぶる生徒はほとんどいない。


ほとんどいないから校則も緩いのだ。




安藤の噂は、昼休みには学校全体に広がっていた。




特進クラスにギャルがいる。




間違って特進に入れられた。




コネで特進に入れるらしい。




安藤を好奇の目で見る生徒達。


移動教室の時は、安藤が移動するのを遠まきに眺めながら噂話をしていた。

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