しかし、そんな周囲の目も、安藤はまったく気にしていない様子だった。


数人の生徒が、安藤に寄り添っている。




積極的な生徒数人が、安藤に接近していた。


その様子を、好美は静かに見ていた。




噂は所詮噂。


全ては期末テストで証明される。




好美はそう思っていた。


転校生の存在も、自分の立場を揺るがす存在ではない。




好美はそう感じていた。


あんな子が優秀なわけは無い。




朝までの不安は、安藤を見て消えていった。


期末テストまではもう少し。




好美は勉強に集中した。




家に帰っても、好美はほとんどの時間を勉強にあてる。


父親はIT関係で成功し、多忙の日々を送っている。




裕福な家庭だが、そこに家族の団欒は存在しない。


たまに好美と顔を合わせる父親も、聞く事は勉強の事ばかり。




「今度のテストは大丈夫だろうな?」




この日も、突然部屋に入ってきた父親は、その一言だけを好美に投げかけた。




「大丈夫だよ、おとうさん」

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