佐藤はそんな好美の態度にも、めげることは無い。


佐藤は好美にくっつく事で、自分の居場所を確保している。




クラスメイトはそんな佐藤を心で馬鹿にしているが、佐藤自身は気がついていない。


強い者にくっつく事で、自分もその位置にいると思い込むタイプの人間は多くいる。




佐藤はそんなタイプの典型だった。


だからこそ、冷たくされても引く事は無い。




「そう言えば相田さん、もうすぐ期末テストですね。きっとまた1位なんでしょうね」




「あなたも人の心配なんかしてないで、勉強したほうが良いんじゃない?」




好美はめんどくさそうに佐藤に言う。




「私なんていくら頑張っても相田さんのようには出来ないですよ」




どこか飲み会のサラリーマンのようなやり取り。


佐藤は必死に好美をよいしょしていた。




好美は、佐藤のいつものよいしょに、何も返さずに次の授業の準備をはじめた。


もう怒る気もなくなっていた。




そんな態度の好美をよそに、なぜか佐藤は満足気な顔で自分の席に戻った。


好美は教科書を開きながら、國本の言葉を思い出していた。

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