夏服に袖を通した学生達が、明るい笑顔で校門を続々と抜けていく。


暑さも日に日に増す中、学生達は夏休みを1ヶ月前に控え、夏休みの計画を楽しそうに話している。




進学校であるこの学校も、それは例外ではない。


期末テストが終われば、学生達は緊張をほどき、夏休みを迎える。




あと少し。


もう少し頑張れば夏休み。




そんな雰囲気が広がっている。


しかし、夏休みも、息抜きではなく勝負の時と感じている生徒達がいる。




それは、進学校の中でもエリートと呼ばれる生徒達。


特別進学クラスの生徒達だ。




校舎も別に用意され、同じ学校の中でも別格として扱われている。




眠そうな顔の生徒。


友達と談笑する生徒。




その中に、朝から緊張感を持ちながら通学する生徒達。


この学校の生徒なら、聞かなくても特進の生徒だと分かる。




「相田好美さん、おはよう」




長い黒髪の生徒が一人の生徒に声をかける。




「おはよう。あいさん」




好美は長い黒髪の生徒に、無表情のまま挨拶をする。

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