好美はそのまま校舎に入っていく。


特進クラスの生徒でも一目置かれている好美。




入学した当時から、成績は常にトップ。


二年になった好美は、すでに学校の有名人になっていた。




しかし、その冷たい態度が周囲にはあまり良い印象を与えない。


勉強ばかりのガリ勉女。




好美は嫉妬を含んだ目で周囲から見られている。


しかし、好美自身はそんな事を気にもしていない。




そればかりか、好美には自分以外の生徒を完全に見下していた。


自分の努力で手に入れた地位。




それが好美の絶対的なプライドになっていた。


周囲の雑音も、好美にすれば努力もしない烏合の衆にしか見えなかった。




「相田さん、ちょっとここを教えて欲しいんだけど」




教室に入った好美に声をかける一人の生徒。




「村上さん、ここはこの前も教えなかった?」




好美は鋭い視線で村上晶のほうを見る。




「もう一回だけ、ね?」




好美は軽くため息をつきながら、淡々と説明を始める。


近寄りがたい好美に、こうしてクラスメイトが聞きに来るのは、それだけ好美の教え方が上手い証拠でもある。

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