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まだ暑さも残る9月。
少しやつれた好美がそこにいた。
楽しい夏休みの思い出も一切無い。
全ては安藤に勝つために。
どこかまだ余裕があった好美には、もうその面影は無い。
日に焼けた生徒が行きかう中、鋭い目つきの好美が通り抜けていく。
あれだけ心の支えにしていた紺野の姿も、一切見ようとしなかった。
好美が自分の席に座っても、誰も声をかける事は無かった。
好美の到着に気がついた佐藤も、視線を一瞬好美に向けただけで、そのまま自分の席に座った。
「相田さん、おはよう」
そんな好美に声をかけてきたのは、あの安藤だった。
いつもの気さくな笑顔。
好美は、視線も合わさず、頭を軽く下げただけだった。
夏休みも終わり、思い出を楽しそうに話す生徒を尻目に、好美はわずかな時間も勉強についやしていた。
「おはよう、夏休みは有意義に過ごしたか?」
國本が教室に入ってきて、2学期がはじまった。
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