第一章

会いたかったよ

第1話

いつ、すれ違っちゃったのかな……。


ひょっとしたら、最初からすれ違っていたのかな。






私達が初めて会った小学生のあの日から、既に運命の歯車は狂い始めてたのかな…。



正直、よくわかんないよ。







谷崎くん。


会いたかった。




ずっと。


ずっと、ずっと会いたかったよ……。






谷崎くん……。


私達が暮らす街を離れてから、一体どこで暮らしていたの?







四年八ヶ月ぶりに私の前に姿を現した彼は、離れ離れになっていた歳月と共に、あの頃の面影を残したまますっかり大人びていた。






『私達、ようやく会えたね』






でも…。


久しぶりに彼の姿を視界に捉えても。

言葉を失わせるほど感銘を受けても。

胸いっぱいになるくらい嬉しくても。


そのひとことが伝えられなかった。







ーーそれは。


現在高二の私には、どうしても言えない理由があったから。

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