第三章

古くからの友人 ノグ

第20話

ーー紫陽花が街中の景色を彩り、蒸し暑さが肌で感じるようになった、六月上旬の朝。


愛里紗は学校の最寄駅の改札で、背後から元気な声で昔のアダ名で誰かに呼び止められた。




「おはよー、あーりん。今日から夏服だね!」




未だにこんな珍しいあだ名を呼ぶ人は、小学生時代の友達しかいない。


愛里紗は背後へと振り向くと予想通り。

そこには、小学校から高校まで同じ学校に通っている友人ノグの姿があった。




「あーりんはいい加減やめてよ…。恥ずかしいってば。私達はもう高二なんだし」


「はいはーい、ごめんなさい!愛里紗さま〜。…ところで、そろそろ中間テストだけど勉強してる?」



「私が二週間も前から勉強すると思う?」


「だよね〜。愛里紗がそんなに必死に勉強してる姿なんて見た事ないし」



「言ったなー!さすがにそれは言い過ぎ!」




通学途中で合流したノグとは、仲良くふざけ合いながらも一緒に登校する事に。

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