一生懸命
第17話
モデルと言っても過言ではないほどスタイル抜群で容姿端麗な翔くん。
一度見たら目に焼き付いて離れられないほど魅力的な人。
「何……。俺に何か用?」
翔の不機嫌な眼差しは、自分の噂話をする二十代前半くらいの女性二人組へと向けられる。
焦った咲は翔の気を逸らす為に腕を引く。
「翔くん。噂話なんて気にしないで行こう!」
周りの目から避けるにはこうする他なかった。
悪い噂をされている訳じゃなかったけど、翔くんは人の目が気になるのかな。
初デートは失敗しないように前々からプランを練っていた。
最高潮な時間を、最高に素敵な彼氏と過ごしたい。
苦労して彼女の座を得たのだから、ここからが本当のスタートになる。
咲は先行く翔の隣に追い付いて歩幅を合わせると、上目遣いで言った。
「私、最近新しくオープンしたラテアートのカフェに行きたいな」
「駅から徒歩五分のところだっけ?店名が思い出せないな」
「確か《LINK》だった気がする」
「いいよ、行こうか」
会話が成立しただけでも嬉しくて……。
気持ちは今にもパンク寸前に。
本当はカフェなんてどうでもいい。
翔くんと一緒なら何処にいても幸せ。
三年間一途に思い続けていたから、夢が叶っただけでも嬉しい。
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