確信
第49話
少し遠慮がちに神社の鳥居をくぐると、右前方には小さな池がある。
『何か生き物がいるかな』と思って、囲いの石にしゃがんで水面に顔が映る程度に池の中をヒョイと覗き込んだ。
中には十数匹の鯉たちがスイスイと気持ちよさそうに泳いでいて、時より水面に口をパクパクとさせながら顔を覗かせている。
その中でも仲良さそうに並んで泳いでいる二匹の親子と思われる鯉にふと目が止まった。
「あっ、赤ちゃんがいる!」
興奮して目を輝かせながらひとりごとを言った瞬間…。
「去年生まれたんだ」
背後から男の子の声が降り注いだ。
「!!」
ビックリして丸くなった目のまま、声の主の方へと振り返った。
すると、目線の先の彼に一瞬で目が釘付けになった。
その理由は、学校で一目惚れしてしまった同じクラスのイケメンの彼だという事が判明したから。
うそーーっ!
まさかこんな場所で彼に会えるなんて。
穏やかだったテンションは、彼の登場によってマックスに。
トクン……トクン……
恋のメロディを奏でている胸の鼓動は、やっぱり一目惚れに違いない。
自分の気持ちを確信してしまうほど、彼に会えた驚きと嬉しさで自然と胸が高まっていた。
教室で彼の顔はしっかり覚えたけど、それ以外の情報はまだ知らない。
声を聞いたのも今この瞬間が初めて。
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