届かぬ想い
第42話
ブロロロ………
無情にも愛里紗の願いは届かず。
翔の母親はブレーキを踏む事なく自宅方面へと車を走らせた。
だが、諦めきれない翔は小さな窓から身を乗り出すと、小さくなっていく姿の愛里紗に向かって叫んだ。
「オレハ…カナラズ…アリサヲ………」
ブロロロ……
大雨で声がかき消されてしまったせいか、愛里紗が聞き取れたのはそれが限界だった。
「谷崎くん………。遠くになんて行かないで…。離れたくないんだよ……」
どんなに泣き叫んでも。
どんなに全力で走っても……。
車は止まることなく、雨のカーテンの奥へと姿を消した。
頬を濡らしている涙は、雨粒と判別がつかないくらい全身ずぶ濡れ状態に。
でも、そんな事が気にならなくなるほど私の心は崩壊していた。
愛里紗の母親は、娘に傘を差し出して手で簡単に水滴を払うと、慰めるように肩を抱いて家へと向かった。
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