第九章

十二回目の誕生日

第68話

ーー今日は八月二十三日。

記念すべき、私の十二回目の誕生日。



今日はクラスの友達と自宅で誕生日パーティーをする約束をしている。

友達が家に来る前に、母と一緒に作った料理やお菓子をテーブルに並べた。




一度不恰好のおにぎりで恥ずかしい思いをしてから、積極的に母の手伝いをするように。




先日不恰好だったおにぎりは、丸から三角に。

夏休みの数日間で私の料理の腕はずいぶん上達した。


普段から母が口酸っぱくお手伝いをするように言っていた意味が、今になってようやくわかった気がする。





誕生日パーティーには、ミキとノグと谷崎くんと谷崎くんと仲がいい男子の山口くんも誘った。

今日は神社に行けないし、谷崎くんとは仲が良いのにパーティーに誘わないのも何だか気が引けてしまい、思いきって招待する事に。




誕生会はお互い気遣ってしまうという事もあり、プレゼントは持たせないと言うルールを予め親同士で決めていた。

だから、みんなは食べきれる分のお菓子だけ持参した。




「わーっ。ケーキうまそう!」


「あーりんの家って結構広いね!」


「友達の家って、ちょっとドキドキしない?」




友達は学校にいる時とは違い、緊張した様子でちょっとよそよそしい。




「さ、みんな始めましょうか」




母は子供達がそれぞれ着席した事を確認。

母の合図と共に私の十二回目の誕生会は始まった。



みんなは少し照れてお互いの顔を見合わせながらも、バースデーソングを歌ってくれた。

歌の終わりと共に私はみんなの前で一息でフーッと十二本のローソクの火を吹き消す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る