不機嫌に言い放ったひとこと

第25話

理玖とは卒業式の日から音信不通だったせいもあって、何とも言えぬような空気に包まれた。



だが、お互いの目線は離さない。



自然消滅後の一年振りの再会。

正直どんな顔で接したらいいか分からないから、早くこの場から立ち去りたかった。




「ごめんっ!荷物ありがとう…」




愛里紗は理玖から荷物を奪い取ると、ザザッと乱雑にカバンの中に放り込む。


勢いよく立ち上がって、逃げるように立ち去ろうとして背中を向けた瞬間、理玖はすかさず大きな手で愛里紗の手首を掴んだ。




「…………っ!」




愛里紗は驚きざまに振り返ると、理玖はムスッと不機嫌な眼差しを向ける。




「お前は全然変わってない」




そう言うと、少し苛立ったように背中を向けてホームへと向かって行った。


それは、衝撃的な再会を迎えてから2分もかからない短い出来事だった。




『お前は全然変わってない』って…。

一体どーゆー事?




この時は、理玖の言葉の奥にどんな意味が隠されているのかわからなかった。

だけど、何故かやまびこのように心の中でこだましていた。

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