勇気

第82話

重いランドセルを背負いながら、重い足取りで登校したけど……。

丸一日学校で過ごしていても、ミクの告白結果がどうだったか分からない。



谷崎くんもミクも普段通り。

授業は普通に受けてるし、休み時間は友達と一緒に過ごしている。

その上、誰一人ミク達の噂話をしていないから結果が不透明に。


一瞬、噂は聞き間違いなのではと思ってしまうほど、静かで穏やかな一日だった。






谷崎くんの気持ちが見えないから、余計に結果が気になっていた。

内心は知りたくて仕方がない。


でも、自分は噂を聞いて静かに泣いてばかり。

ミクは勇気を出して一人で頑張ったのに、私は後ろを向いて逃げている。



それじゃあ何も解決しない。

こんなに思い詰めるくらいなら、自分も悔いなく頑張らないと…。




そう、その調子。

私の恋はまだまだ頑張れる。

ウジウジ悩んでばかりいないで、谷崎くんと直接話して気になっている事を聞けばいい。


そして、私もミクのように勇気を出して想いをきちんと伝えないと。





気持ちを奮い立たせた愛里紗は、ようやく前向きな気持ちになり、学校から帰宅して部屋に荷物を置いてから、翔と二人きりで話す為にいつもの神社に向かった。

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