ポッカリ空いた穴
第14話
ーー春の日差しが燦々と降り注ぎ、校門に立ち並ぶ桜が新緑へと衣替えをしている五月下旬。
金曜日の学校の帰り道に愛里紗は言った。
「明日は土曜日だし、今日はうちに泊まりに来ない?」
このように、咲に突然お誘いする事が多かった。
急なお誘いでも、泊まりの準備をしていなくても、彼女は泊まりに来てくれる事がある。
私には兄妹がいないし、母親も咲が遊びに来てくれる事を歓迎してくれる。
「誘ってくれてありがとう。…でも、今日は彼と初デートなんだ。せっかく誘ってくれたのにごめんね」
「そうだったんだぁ!咲はずっとこの日を楽しみにしていたもんね。良かったね。楽しんできて!」
「うん。ありがとう。…また今度誘ってね」
「いーのいーの!私なら全然大丈夫だから」
本音を隠して気丈に明るく振る舞ってみたけど、駅の改札で反対方向のホームに向かう咲にバイバイした後はガックリと肩を落とす。
咲とは今まで恋人のように仲良くしていたのに、彼氏が出来た途端に遊べなくなっちゃうのはちょっと寂しい。
まるで長年付き合っていた恋人にフラれたような感覚に。
本当は親友として彼氏とのデートを素直に喜んであげればいいんだけど……。
普段から二人きりで過ごす事が多かったせいか空虚感に襲われた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます