機巧のエレジィ

あらすじ
「唄声が……聞こえた気がします」
　そこは荒れ狂う吹雪を讃える機巧山。
　地方の瑠璃島市にて催されていた雛曵き祭りを鑑賞後、機巧人形劇団を名乗る七人の劇団員は、人形峠と呼ばれる峠を車で帰路に着いていた。不可解な故障と吹雪と圏外によって一台を放置していた彼らはギチギチの車内で峠抜けを待っていた。
　そのギチギチと無縁の助手席に座る少女――霧島桜は車を運転する綾波綾香と共に、暗闇からヘッドライトの中へ飛び出して来た人影らしきものに気付き、それを避けようとしてハンドルを誤った車は人影を撥ねて崖下へ転落してしまう。
　その転落によって車は大破し、運転していた綾香は意識不明になってしまうが、主宰の京堂明夫、劇団員の大淀車、天龍拓真、島風瑠偉、鈴谷愛里、桜は無事に車から出ることが出来た。事故の…続きを読む