第021匙 東のカレー店:とろ肉カレーロリコズキッチン(東神田)
「神田平成通り」を東に向かって進んでゆくと、程なくして「靖国通り」と交差し、道は一本化する。
その後、この大通りをひたすらに進んでゆくと〈東神田〉に至る。その最寄りの駅は、JRの「馬喰町(ばくろちょう)駅」や、東京メトロ日比谷線の「小伝馬(こでんま)町駅」、要するに、この辺が千代田区と中央区の境界なのだ。
その千代田区の東端、中央区の境界付近の建物の二階の「ミニ・フードコート」で営業しているのが「とろ肉カレーロリコズキッチン」で、こここそが、今回の〈スタンプラリー二〇二四〉において最東端に位置しているカレー提供店なのである。
実は、この二階では別の飲食店も営業していて、飲食エリアは複数店舗共有になっている。それゆえにか、このスペースは「東神田ミニフードコート」と名付けられている。だからなのであろう、スタンプラリー対象店は、そのとろ肉さんだけで、別の店は対象店ではない事が、カレー・ガイドブックにも記載され、建物内にも同じ注意書きが貼られていた。
書き手は、二階スペースをざっと見渡した上で、間違わないように注意しながら、敷地の一画内にあるとろ肉さんに向かい、店名にもなっている「とろ肉カレー」を、「中辛」で注文した。すると、フードコートでよく使われている、呼び出しブザーを渡された。
各席にはメニュー一覧と各品の説明書きが置かれており、提供までの待ち時間に書き手はそれを読んでみる事にした。
「とろ肉カレー」の〈とろ肉〉とは、「文字通りとろけるような食感になるまで煮込」まれている肉で、「牛や豚の希少部位」を贅沢に使用しているらしい。なるほど、だからこその、ポークカレーでもビーフカレーでもない「とろ肉カレー」なのだろう。
そしてふと壁に目を向けてみると、この「東神田とろ肉カレー」のポスターが貼ってあって、そこには、「現在、通販予約3ヶ月待ち」という文言が見止められた。
なるほど、いやが上にも期待感が高まってくる。
再び、机の説明書きに目を落とした書き手の注意を引いたのは、「日本カレーとインドカレー」のいいとこどりであるスパイスは、「野生の感の独自ブレンド」であるという文言であった。
「野生の感」とは、思わず、口に含んだ水を吹き出しそうになる表現だ。
そうこうしているうちに、振動と共にブザーが鳴り響き、書き手が注文したカレーが提供された。
白いトレーに載せられていたのは、カレーとライスが別容器のカレー・ライス型の品であった。
銀のグレイビー・ポットに入っているカレーは、やや黒みが強い焦茶色で、書き手は先ずはそれだけを味わってみる事にした。辛くは在るが頭を突き抜ける程でもない。
次に、このカレーの代名詞でもある〈とろ肉〉を口に運んでみた。
うん。
たしかに、口の中でとろけるようなトロットロぶりである。
そういえば、この店の「とろ肉カレー」は、普通が「中辛」で、価格は一一〇〇円、「辛口」は一〇〇円増しの一二〇〇円、このように辛さが上がるほど値段が増すのは、よくある値段設定なのだが、これに対して、辛さレベルが下の「甘口」が中辛よりも高い一二〇〇円になっているのは珍しいように思われる。
ちなみに、先に見た説明書きには、甘口に関してこう書かれていた。
「甘口は、辛い要素を一切入れずに、はちみつとダークチョコレートで仕上げています」
こうした手間暇が〈甘口〉には加えられており、それが、甘口が中辛よりもお高い理由なのであろう。
それにしても、チョコとはちみつが〈とろぉ〜り溶けてる〉「とろ肉カレー」を味合うのも面白そうだ。
次の訪店機会があったら、これを注文してみよう、と思いながら、書き手は店を後にしたのであった。
〈訪問データ〉
とろ肉カレー ロリコズキッチン:東神田
二〇二四年八月二十七日(月)二十時
とろ肉カレー・中辛:一一〇〇円(現金)
カード21「ステカセキング」
〈参考資料〉
『公式ガイドブック』、六十七ページ。
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