第005匙 アルカディア右から入るか左から入るか:翠(市ヶ谷)

 JRの「市ヶ谷駅」を出て、飯田橋方面に向かって進むと直ぐに、二又に分かれた道に出くわす。右が「靖国通り」、左が、土手沿いの細道になっており、その二本の道が接している所には「市ヶ谷プラザビル」が在って、その建物の一階に『カレーの王様』が入っているのだが、さらにもう少し進むと、「アルカディア市ヶ谷 私学会館」という建物が在る。


 その歴史を調べてみると、一九五七(昭和三十一)年に、「私立学校教職員の研修と福祉を図ることを目的」として、「一般財団法人 私学研修福祉会」が設立され、そして、一九五九(昭和三十三)年に、私学教職員の福祉厚生の為の施設として創業されたのが「私学会館」である。その後、一九八五(昭和六〇)年に新たに建て替えられたのが、今現在、市ヶ谷の〈V〉字路の鋭角部にある建物で、その新たな「私学会館」が、今あるように、「アルカディア市ヶ谷」と名付けられたのは、昭和末期の一九八八(昭和六十三)年の事であるらしい。


 アルカディア市ヶ谷は、地下二階、地上十階の建物なのだが、先に確認したように、「V」字路の底の方に位置しているので、主筋のような「靖国通り」から建物の一階に入る事もできれば、副筋のような土手沿いの細道から、建物の地下一階部に入る事も可能で、今回の二〇二四年のスタンプラリーで、千代田区の境界に沿って、店を巡っている書き手は、あえて、細道の地下一階からアルカディアに侵入したのであった。


 さて、四ツ谷の「主婦会館 プラザエフ」二階の『レストランエフ』と同じように、市ヶ谷の「アルカディア市ヶ谷 私学会館」二階にも幾つかの料理店が入っており、その一つが『中国料理 翠(すい)』である。


 アルカディアの『翠』さんは、今回のスタンプラリーでも「翠式カリー炒飯」で参加している。


 〈カレー炒飯(チャーハン)〉といって、我々が想起するのは、カレー粉を入れてご飯を炒め合わせた、カレー味のチャーハンかもしれないが、注文後に、書き手の前に提供された「翠式カリー炒飯」は、多くの人が思い描く、そうした普通のカレーチャーハンとは全く別物であった。


 皿の上には、牛スジや牛バラがふんだんに使われた〈ビーフカレー〉が存在感を放ち、その傍らに、通常の白いライスや、黄色のターメリックライスなどの代わりに、〈炒飯〉が主食の役割を担っていたからである。

 

〈訪問データ〉

 中国料理 翠:市ヶ谷

 二〇二一年八月五日(月)十三時四十五分

 翠式カリー炒飯:一一〇〇円(クレカ)

 カード05「ミートくん」

〈参考資料〉

 『公式ガイドブック』、四十五ページ。 

 〈WEB〉

  「会館概要」 「中国料理 翠」、『アルカディア市ヶ谷 私学会館』、二〇二四年八月十一日閲覧。

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