東北の外縁:末広町・秋葉原

第012匙 (T・T):松屋精肉店(御徒町)

 前日と、この日の午前中の二日に渡って、書き手は、JRの「お茶の水」駅と東京メトロの千代田線の「新御茶ノ水」駅付近の、いわゆる〈お茶の水〉界隈のカレー店四軒を巡った。


 さて、もしも、お茶の水から徒歩で神田川を渡って、千代田区の北東エリアに向かおうとする場合、「聖橋」を渡ってから、「昌平橋通り」を通ってゆくルートがあり得る。その場合、神田明神下の通りや蔵前橋通りに面しているカレー店を巡ってゆく事になるであろう。だがしかし、今回の書き手のコンセプトは、千代田区の境界を辿ってゆき、その過程で外縁に近接しているカレー提供店を来訪する、というものなのだ。


 ここで、千代田区の地図やガイドブックのマップを見てみると、上記の通りに位置している店は、実は、境界の内側に位置している事が分かる。

 というのも、「神田明神」が千代田区に属しているため、神田明神下の交差点付近から、その敷地を囲っている道が千代田区の境界線になっている為、左側に膨らんだような形を成しているからなのだ。

 だから、境界に沿って千代田区の北東部の出っ張りまで行かん、と欲するのならば、徒歩で神田明神周囲の道に沿って、遠回りをしてゆく事になる。

 徒歩以外では、「サンクレール」から、地下鉄のホームまで降りてから、東京メトロの「千代田線」に乗り、「湯島」駅まで向かうのがよい。つまり、その六番出口から駅を出れば、そこは台東区で、このように千代田線を使えば、我々は、千代田区から台東区にワープする事ができるからだ。


 湯島からは、上野を背にして神田明神方面に向かう事になるのだが、ここで注意したいのは、地名が書かれている表札をきちんと見ながら進む事である。というのも、千代田区の最北の境界になっているのは細い道で、気を付けていないと、素通りし、いつの間にか、区の境を跨いでしまいかねないからだ。


 とまれ、同じ道路に面しつつ、上野側が台東区、神田明神側が千代田区になっており、それが地名の札によって具体化されているのは実に面白い。とはいえども、厳密には、道の真ん中に不可視の線が走っているので、日中は車の頻繁な通行の所為で、境界に沿って歩くのは、かなり難しい。


 さて、上野を背に、境界たる細道を左折し、中央通りを渡り、そのまままっすぐ東進してゆけば、「亀住稲荷神社」があるのだが、そこまでが千代田区の最北のラインになっている。

 そして、この右上角に神社が在るブロックの〈左下角〉に、この日の書き手の目当ての店である「ハンバーグ専門店 松屋精肉店」が位置している。

 つまるところ、松屋さんは、千代田区の中でも〈最北東〉に位置しているのだ。

 

 実は、書き手は、店のディナー・タイムの開始時刻よりも早く、湯島駅に着いてしまったので、地図と端末のアプリを片手に右往左往しながら、不可視の境界を辿り、その発見に一喜一憂していた。

 そのように、台東区と千代田区の境付近をウロウロした後に、店の開始時刻になるや、書き手は、松屋さんに開店凸した次第なのだ。


 ハンバーグ専門店である松屋さんは、前回、二〇二三年からスタンプラリーに参加しているのだが、今回提供しているカレー・メニューは、「肉屋のインディアンカレー」と、「夏限定B.H.Tコーンカレー」の二つであった。

 次第に辛みが増してゆくインディアンカレーに対して、夏限定カレーの方は、ハンバーグがライスの山頂部に置かれているカレーをベースに、これにコーンポタージュが掛かっており、さらに、ベーコン、トマト、コーンが具になっている。つまり、B.H.Tとは、ベーコン、ハンバーグ、トマトのイニシャルであるようだ。

 書き手は、開店前に境界をたどりながら、この夏の〈限定〉カレーを注文しよう、と考えていたのだが、しかし残念ながら、開店凸したにもかかわらず、書き手は、この限定の〈BHTC〉カレーを食べる事はできなかったのだった。


 というのも、開店待ちの際に、スマフォで、スタンプラリーの「おしらせ」のチェックをしたところ、八月七日の午前中の告知において、仕入れ状況の都合によって、この日八月七日には限定カレーが販売されない事が知らされていたのだった。

 おそらくは、仕入れができなかったのは、ハンバーグとベーコンといった肉類の方ではなく、トマトやトウモロコシ(コーン)といった野菜なのかもしれない。とまれ、限定が品切れしないうちに、と思ってディナー・タイムの早い時間帯に訪店したのに、目当てのカレーにありつけなかったのは非常に残念であった。

 それにしても、〈カレー枯〉以外にも、トマトやトウモロコシといった食材の入荷の問題で、食べられないケースもあるなんて、まさに〈(T・T)〉である。

 

〈訪問データ〉

 ハンバーグ専門店 松屋精肉店:末広町・御徒町

 二〇二四年八月七日(水)十七時半

 肉屋のインディアンカレー(ライス少なめ):一二八〇円(クレカ) 

 カード12「悪魔将軍」


〈参考資料〉

 『公式ガイドブック』、六十九ページ。 

〈WEB〉二〇二四年八月二十一日閲覧

 『松屋精肉店』

 「お知らせ」(松屋精肉店、八月七日付)、『神田カレー街食べ歩きスタンプラリー 2024 [スマホ版]』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る