第010匙 煮干しカレーまぜ麺:にぼ助(お茶の水)
休み明けの週の最初の営業日が火曜だったり、カレー提供日が月曜と火曜のランチのみだったりなどと、この週の火曜日の昼時には、カレー提供店を連荘しなければならなかった書き手は、全体のスケジュールの都合から、この日の夕方もまた、カレー料理提供店をハシゴする事になったのであった。
そういった分けで、夕方に、三軒目のカレーを少なめで食べた次第なのだが、夕方と夜にカレーを食べるのならば、食事と食事との間を、でき得る限り開けた方がお腹に優しいのは当然であろう。
かくして、この日の最後の晩飯の地として書き手が訪れたのが、お茶の水の「厳選煮干しらーめん 初代 にぼ助」であった。
この店は、店名にあるようにラーメン店で、多くの麺屋と同じように、割と遅い時刻まで営業しているので、すでに三皿のカレーを食した書き手にとっては、この日の食事の〆に相応しい店だったのである。
ところで、昨今、割と耳にするようになった〈煮干しラーメン〉とは、どのようなタイプのラーメンなのであろうか。
青森では、いわしやあじ等を煮詰めた後に固めて乾燥させた〈煮干し〉から取った出汁が家庭の味噌汁に使われてきたそうで、小魚を煮込んで取った出汁に、しょうゆだれを合わせたスープを使ったのが、青森の津軽地方が発祥と言われている〈煮干しラーメン〉である。
そして、煮干しラーメンには、〈あっさり系〉と、少しドロっとした〈こってり系〉の二つがあるらしい。
さて、東京のお茶の水に在る、煮干しラーメンの「にぼ助」さんは、今回、カレー麺をもってして、〈スタンプラリー二〇二四〉に参加しているのだが、実は、煮干しラーメンを提供している店の中には、煮干しラーメンとは別に、カレーラーメンを提供している所もあるようで、果たして、「にぼ助」さんの場合はどうなのであろうか。
『ガイドブック』の店のWEBページによれば、「バングラデシュのカレー×中華のラーメン×和の煮干し」というキャッチを使って、「感動の麺とカレー」と名付けたメニューを提示しているので、ここのカレー麺が、煮干し〈カレー〉ラーメンなのは間違いなく、そのカレーはバングラデシュのカレーであるそうだ。
バングラデシュは、ベンガル人の国という意味で、インドに隣接し、ベンガル湾に面している。
やがて、書き手の前に提供されたどんぶりの中の品は、カレー汁の麺ではなく、青森発祥の煮干しラーメンの上に、キーマのようなバングラディシュ・カレーが〈×〉、もとい、掛けられていた。
喩えてみると、スープのあるミートソース・パスタのような感じで、ラーメンの提供者次第で、様々な食べ方が可能であろう。
例えば、煮干しラーメンとして味わった後で、カレーを麵に付けたり、麵の上のカレーを汁に少しずつ加えたり、こう言ってよければ、煮干し麺にカレーのアクセントを加えてゆくような方法である。
それで、いったい書き手はどうしたか、というと……。
ここで、ついつい、油そばを食べる時の癖が出てしまった。
具、すなわち、カレーと麺、さらにはスープを無意識に掻き混ぜてしまったのである。
あっ! まず、煮干し麺として十分にラーメンを味わってから混ぜればよかった、と後から思ったのだが、そのプチ後悔は遅きを逸してしまった。
そして、いったんやり始めてしまったのならば、とばかりに、完全に麺と汁に馴染むまで、徹底的にカレーを混ぜ込んで、「感動の麺とカレー」をカレーまぜ麺として食した書き手であった。
〈訪問データ〉
厳選煮干しらーめん 初代 にぼ助:お茶の水
二〇二四年八月六日(火)二十二時
感動の麺とカレー:一二五〇円(現金)
カード10「ネプチューンマン」
〈参考資料〉
『公式ガイドブック』、五十二ページ。
〈WEB〉二〇二四年八月十七日閲覧
「煮干しラーメン」、 『イーコネクション株式会社』
「ニボラーもうなる濃厚スープ 青森の煮干しラーメン」(二〇一八年六月三十日付)、「日本経済新聞」
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