丸の内

第033匙 ヘルシー志向のカレー・ポタジェ:MITAN(東京・丸の内)

 JR東京駅の皇居側、いわゆる〈丸の内口〉には、幾つもの著名なビルがあって、そこへの移動には地下通路も使える。

 ただ、地下を通ってゆく場合、慣れていない者にとっては、その地下連絡路は迷宮に等しい空間で、予め位置を確認しておかないと、目的地に容易く辿り着く事は出来ないかもしれない。


 さて、書き手のこの日の目的地である「MITAN」さんは、「新丸ビル」の地下一階の飲食街に位置している店で、おそらく、丸の内のOLさんたちをメイン・ターゲットにしているのかもしれないが、店前の黒板タイプのイーゼルに書かれていたメニューやその説明書きには、「ノンオイル!!」の「ヘルシートマトパスタ」、「オイル不使用!!!」の「カツオのグリル」、「低脂肪!低カロリー!!」の「英国産 牛ハラミステーキ」といった単語が認められ、この店が、〈ヘルシー〉をウリにしているのは明らかであった。

 そんな健康志向の「MITAN」さんが、神田カレースタンプラリーに出しているカレー・メニューが、「驚愕!!バターを使わない」、「野菜×ポタージュ ベジタブルカレー」で、言わずもがな、この品もノー・バターと〈ヘルシー〉を全面に押し出していた。


 さらに、店内に置かれていた、件のカレーの〈パウチ・メニュー〉には、以下のように、より詳細な説明が為されていた。


「な、なんとカレールーにバターを使わない 超・ヘルシーカレー!! 野菜の旨味が溶け込んで口の中でひろがります。クリーミーなのにスパイスも効いている 新・感・覚!な味わい! カレー好きな方も必食です!!」


 ここから分かるポイントは二点で、それは〈ヘルシー〉と〈野菜〉であろう。

 

 やがて提供されたライス・カレーは、具材としては、ナス、アボガド、タマネギ、赤パプリカ、ニンジン、プチトマトなどの野菜が使われていた。

 そして、カレーはまあまあ辛く、色はやや白みがかっていて、とろみが強い印象であった。

 このとろみこそが、カレーに野菜を溶け込ませた証なのだ、と書き手は思った。


 フランス語で〈野菜〉を意味する名詞は〈LEGUMES(レギューム)〉なのだが、〈野菜の〉を表わす形容詞は〈POTAGER(ポタジェ)〉、この形容詞が〈ポタージュ〉というスープと関連があるのは明白で、つまり、ポタージュは本質的には野菜スープなのだ。だから、溶けた野菜がカレーに入っているのは至極当然なのではなかろうか。


〈訪問データ〉

 MITAN:東京駅・丸の内口

 二〇二四年九月三日(火)十三時半

 MITAN特製ヘルシーベジタブルカレー:一三〇〇円(クレカ) 

 カード33「ビッグ・ザ・武道」


〈参考資料〉

『公式ガイドブック』、七十二ページ。 

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