第032匙 どようだけぇ~:Spice Box(神田駅西口・神田警察通り)
思うに、スタンプ・ラリストの心理とは、コレクターと同じなのではなかろうか。
つまり、全部巡れるかどうかが問題で、何らかの理由でコンプできないのならば、行けない店が一軒でも半分でも同じ事と発想してしまうのだ。
だから、これまでのスタンプラリーで、四コース達成の「ゴールド」よりも、フルコンプの「グランド」の方が達成者が多かったのであろう。
だが、フルコンプは簡単ではない。
それは、昼だけしか、あるいは、平日しか営業していない店が何軒も参与しているから、というだけではなく、営業はしているがスタンプ対応をする曜日を限定している店が何軒かあって、そのうちの一つが、「神田警察通り」の神田寄りに位置している「Spice Box」さんである。
この店は、二〇一八年の神田カレーグランプリで第三位と、「神田カレーマイスター」だけが投票権を持つ「神田カレーマイスター賞」を同時受賞していて、つまるところ、普通のカレー好き一般のハートを掴み、カレーに一家言あるに違いないカレー・マイスターの舌を震わせた店で、人気店ゆえに入店の為に待たねばならない事が多く、多忙ゆえに、スタンプラリーに対して土曜限定の対応をしているのかもしれない。
そんな南インド料理店「スパイス・ボックス」さんは、スタッフが外国人、料理人が日本人で、カレー・ガイドブックの店のページによると、店長の「斗内」さんは、「ケララ州の5ツ星ホテルで腕を磨いたシェフ」であるらしく、「日本人の舌にもなじむ南インド料理を化学調味料や添加物を使わずに丹精込めて作」っているそうで、おそらくそれはカレーだけではなく、使っているお米にも表われていて、この店は、宮城県の「ひとめぼれ」を羽釜で炊いている、との事である。
インド帰りの料理人が、ライスに、例えば、「バスマティライス」などのインディカ米を使わずに、あえて「ひとめぼれ」を使っているという事は、南インドのケララの料理を日本人向けにアレンジした、自らの店の料理の美味さへの絶対的な自信の表われなのかもしれない。
こういった次第で、「スパイス・ボックス」さんは、多くのカレー・ラヴァーを唸らせる名店であるのは間違いないであろうが、同時に、土曜日にしかスタンプ対応していないが故に、スタンプ・ラリスト泣かせの店である事もまた否定できない事ではなかろうか。
〈訪問データ〉
Spice Box:淡路町駅
二〇二四年八月三十一日(土)
1種のカレー:一〇〇〇円(現金)
カード32「ステカセキング」(二枚目)
〈参考資料〉
『公式ガイドブック』、四十一ページ。
〈WEB〉
「過去の結果・受賞店」、『神田カレーグランプリ』、二〇二四年九月十七日閲覧。
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