第007匙 十種の野菜の燻製カレー:BASE CAMP(水道橋)
JRの「水道橋駅」付近は、中央線の線路、神田川、「外堀通り」が並び走っており、その三本の線のうち、飲食店街が集中しているのは線路側である。だが、数こそ少ないが、靖国通り側にも何軒かの飲食店は散見する。
〈スタンプラリー二〇二四〉の序盤において、書き手は、エリアの外側に位置する店から巡ってゆく、というコンセプトの下、千代田区と他の区の境界線を徒歩で移動しながら、その不可視の線に近接する飲食店を訪店しているのだが、今回、書き手が訪れたのが、水道橋の〈靖国通り側〉に位置する「BASE CAMP」である。
この店は日曜と月曜が休みで、ランチタイムに営業をしているのは、週の真ん中の火・水・木という事もあってか、書き手が店に到着した、休み明けの火曜日の正午二十分前の、開店から僅か十分後の時点で、店は既にかなりの混雑を見せており、書き手が注文したカレーが提供されるのを待っていた間に、早くも満席になってしまったのだった。だから、早め早めに行動し、お昼前に到着できた事に書き手は感謝した。
さて、この店のランチ・メニューはセットで、全てに「野菜の前菜3種」とデザートが付き、選択肢はAからCまでの三つで、その内容は、Cが週替わりの「今週のごはん」で、書き手が訪れた八月第二周目は「ルーローハン」であった。そして、Bが「タコライス」、Aが、この日の書き手の目的である「BASE CAMPカレー」である。
店の前に置かれていた、黒板式のイーゼルの説明書きによると、この店のカレーは「名物のトロトロの牛スジカレー」で、さらに「7種の野菜がつく」との事である。
ライスを少なめで注文した後、まず最初に、前菜である三種の野菜が提供された。その三種とは、ナス、ニンジン、そしてピーマンで、それらの野菜を、後にくるカレーと共に楽しむべく、書き手は、〈前菜〉なのに手を付けずに主菜の登場を待つ事にしたのだった。
ところで、この店は、その「BASE CAMP」という店名で明らかなように、〈キャンプ〉をモチーフにし、提供している料理も、いわゆる〈キャンプ飯〉が中心になっている。
ガイドブックの店のWEBページによると、店のマスターは「アウトドア雑誌で山ごはんのレシピをを紹介」し、さらに、とあるアウトドア雑誌のカレー対決でチャンピオンになった経験もあるそうだ。
それ故に、期待は高まるばかりである。
やがて、注文した「BASE CAMPカレー」が提供された。
皿の上の半分がライス、半分がカレーで、そのライスカレーの約四分の一の所、カレーの上で数種類の野菜が存在感を放っている。その野菜とは、カボチャ、ブロッコリー、ナス、ジャガイモ、パプリカなどで、カレーの中にも野菜が沈んでおり、それが、プチトマトといぶりがっこであった。
いぶりがっことは、特に秋田県の内陸部の農家で作られる秋田の代表的な郷土料理である。その特徴とは、囲炉裏の熱と煙で大根を干す点で、冬の低温によって発酵はゆっくり進み、さらに、大根に燻製の香りが付くそうだ。ちなみに、「いぶり」とは〈いぶした〉、「がっこ」が秋田の方言で〈漬物〉の意味だそうで、要するに、いぶりがっことは、燻製干しのたくあん漬けなのである。
このたくあんの燻製がカレーに沈んでいたせいであろう、他のカレーでは味わえないような燻製の風味が付加され、そこに前菜も加え、この店のカレーを、十種の野菜の燻製牛カレーとして味わった書き手であった。
〈訪問データ〉
Cafe&Bar BASE CAMP:水道橋
二〇二四年八月六日(火)正午
BASE CAMPカレーSet:一〇〇〇円(クレカ)
カード07「ミスターカーメン」(二枚目)
〈参考資料〉
『公式ガイドブック』、二十八ページ。
〈WEB〉二〇二四年八月十三日閲覧
「Cafe&Bar BASE CAMP」、 『神田カレー街食べ歩きスタンプラリー2024』
「いぶりがっこ 秋田県」、『農林水産省』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます