北の外縁:飯田橋・水道橋・お茶の水
第006匙 空間的二毛作のシンボル・カレー:アルクロード(飯田橋)
昨今、外食業界では、〈二毛作〉と呼ばれる飲食店が増えているらしい。
そもそも、二毛作とは、同じ畑で二つの異なる作物を栽培する事で、これに対して、〈二毛作〉営業とは、例えば、昼や夜という時間帯、あるいは、曜日で分けて、〈一つ〉の店舗で〈二つ〉の店を営業するもので、例えば、昼はカフェ・夜はバー、または、昼はカレー店・夜は居酒屋といった営業スタイルで、〈スタンプラリー〉参加のカレー提供店の中にもそういったタイプの店が認められる。
それにしても、誰が呼び始めたのか、こういった営業形態を〈二毛作〉と名付けたのは言い得て妙であろう。
さて、二毛作営業の場合、〈同一〉の事業主が、昼夜や曜日で異なるタイプの店を運営するケースもあるのだが、実は、夜しか営業していない店が、自らが利用していない昼の時間帯に、〈別〉の事業主に店を間貸しする、という状況もあって、こういったタイプの営業形態を「間借り営業」と呼び、こう言ってよければ、これは、〈時間的〉な間借り営業であろう。
ちなみに、当たり前だが、貸す方にとっては〈間貸し〉で、借りる方にとっては〈間借り〉である。
とまれかくまれ、〈スタンプラリー〉においても、そういったタイプの店があって、昼のみ営業の理由の一つが、「間借り営業」だからという場合もある。
そしてさらに、ショッピング・モールなどのフードコートに近い印象なのだが、同一の空間・同一の時間帯に、店舗の一部を借りて、間借り営業をするケースもあって、つまるところ、こちらは、〈空間的〉な間借り営業だと言えよう。
そして、千代田区・文京区・新宿区、これら三つの区の境界付近に在るJRの「飯田橋駅」近くにある「スパイスカレー アルクロード」も、そうした空間的間借り営業をしている店なのだ。
アルクロードは、一階が「上等カレー」になっている店舗の二階に入っているのだが、興味深いのは、上等カレーの扉から入って、店内の階段を上がった所に在る点だ。
ちなみに、上等カレーもアルクロードも、券売機による事前食券購入式なのだが、上等カレーの食券は、二階にあるアルクロード側の券売機でも購入できるようになっている。
さて、アルクロードが提供しているのは、「ビリヤニ」、さらに、スパイスカレーは、Aが「スパイスチキンカレー」、Bが「イカとチキンのキーマカレー」、Cが「ホウレン草チキンカレー」、そしてDが、「上等カレー × スパイスカレー」という二様のカレー店のコラボである「スペシャルカレー」で、このスペシャルカレーの内容は固定ではなく、書き手が訪れた八月五日現在は、「マトン・ナスカレー」であった。ちなみに、これらには、サービスで「ミニマンゴーラッシー」が付く。
さらに、AからDのメニューは「1種のカレー」として頼む事もできるのだが、ビリヤニとカレーを組み合わせたり、AからDのメニューを自由に組み合わせた、いわゆる〈あいがけ〉である「2種のカレー」や「3種のカレー」も注文可能なのだ。
ちなみに、今回、書き手が注文したのは、上等カレーとアルクロードのコラボである「スペシャルカレー」で、それは、書き手が〈特別〉や〈限定〉に弱いという事だけが理由ではなく、この飯田橋のカレー店、つまり、一階が上等カレー、二階がアルクロードという、空間的な〈二毛作〉営業の象徴が、コラボカレーたる「スペシャルカレー」であるように思われたからである。
〈訪問データ〉
スパイスカレー アルクロード:飯田橋
二〇二四年八月五日(月)十九時四十五分
スペシャルカレー:一〇〇〇円(現金)
カード06「テリーマン」
〈参考資料〉
『公式ガイドブック』、三十六ページ。
〈WEB〉二〇二四年八月十二日閲覧
「飲食店の『二毛作ビジネス』とは?利益を向上させる新たな営業スタイルを解説します」、『CASIO』
「間借り営業とは?開業の相場やメリット・デメリット」、『note』
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