第024匙 ちょっと品が無いかもしれないけれど:くずしわしょく香季庵(神田駅南口〈中央区〉)
神田駅南口前から「中央通り」に出て、三越前方面に少し進むと、千代田区から中央区に入る。
この区の境界、中央区側に位置してるのが「くずし和食香季庵(こきあん)」で、ランチタイムには、「豚ロース肉のトンカツ」「雪室熟成肉の牛すじ大根煮 白湯仕立て」「若鳥のジューシーから揚げ」「とろさば塩焼き」など様々な〈くずし〉和食が一〇〇〇円前後という安価で提供されており、その中に、店の名を冠した「香季庵自家製辛カレー」もあり、今回、香季庵さんは、このカレーで食べ歩きスタンプラリーに参加しているのだ。
思うに、お札一枚でランチが食べられる事自体、非常なる驚きなのだが、おそらくそれを可能たらしめているのは、メインのメニュー以外、ご飯やスープ、サラダなどが、客が自分自身で盛り付けるセルフサービスになっているからなのではなかろうか。
入店し、半個室に案内された書き手が、ご飯やスープを取りに行き、その後、席に戻ったのとほぼ同時のタイミングで、やや楕円形の白い容器に入れられたカレーが提供された。
カレーは液状で、書き手は、一口匙で掬って口に運んでみた。
魚介と柑橘の風味がはっきりと感じられ、出汁の味が明確な、まさに〈和カレー〉と呼ぶに相応しい。
書き手レヴェルの味覚では、隠し味などではなく、このくらい出汁の旨みがハッキリとしていた方が分かりやすくて丁度よい。
店が明示している情報によると、「煮干しと削り鰹の出汁 10種類の根菜胡麻と柚子をアクセントにしたカレーである」らしく、魚介は鰹、柑橘は柚子であったようだ。
ところで、書き手はいかなる食べ方をしたか、というと、自分でよそってきたご飯に、供じられたカレーを掛けたのではなく、その逆で、ご飯の方をカレーに入れた。
汁気多めの品の場合、そこにご飯を入れるのがベストな食べ方だと書き手は確信しているからだ。
こうする事によってこそ、魚介出汁と柑橘風味の美味いカレー汁を余す事なく味わい尽くす事ができるのではなかろうか。
ただ問題は、この食べ方がネコマンマを想起させ、品が無い食べ方に見える点で、だが幸いな事に、案内されているのは半個室で、同行者もいない〈孤独なグルメ〉なので、誰かに見られる心配もないし、この〈くずし和食香季庵〉さんの和カレーを、多少〈くずし〉て食べる事を、どうか許して欲しい、と書き手は願うのであった。
〈訪問データ〉
くずしわしょく香季庵 日本橋店:神田駅南口・三越前(中央区)
二〇二四年八月二十八日(水)十三時四十五分
香季庵自家製辛カレー:一〇〇〇円(クレカ)
カード24「ロビンマスク」(二枚目)
〈参考資料〉
『公式ガイドブック』、五十九ページ。
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