第22話
「この魔術書をお貸ししますので、これと、これと、この術式を修練しておいてください」
初級の攻撃用魔術一つ、強化の魔術一つ、弱化の魔術一つ。
「やだ! あたしは術師じゃないって言ってるじゃない!」
「困りましたね。手っ取り早く強くなるためには、白兵戦で利用できる術式を増やすか、瞬間的に作り出せる魔力の量を増やすか……もしくは、武術の方面の鍛錬をするしかないと思いますけど……」
ちなみに、この中では魔術の習得が一番早いと判断したのですが。
「……念のために聞きますが、本物のハルバードの入手を検討するというのは……?」
スールアが溜息を吐く。
「そんなお金ありません」
でしょうね。
雷の魔法を纏っても問題ない強度の武器となるとただの武器ではない。
それは、本物のミスリル級の素材や錬金術等の特殊な工法が必要になる。
私の授業料で悩むような金銭感覚では絶対に入手は不可能だろう。
「では大人しく待っていてください、一応本はお渡ししておきます」
シエナは受け取る気が無さそうだったので、魔術書はスールアに渡した。
「2、3日経ったらまた来ます」
そうして私は、森を離れようと踵を返す。
その去り際に。
「あ、セナ先生、待って――」
「はい?」
スールアに呼び止められ、振り返る。
すると。
「――この娘を持って行ってください」
スールアは、ゴーレムの核――つまり抱えている人形を差し出した。
大事なモノの筈ですが?
しかし私は、ピンと来た。
なるほど。
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