第14話

 ちなみに。

 獣人という種族は、基本的に有毒な魔素マナに適応するため。

 加えて、野生の中で脅威となる魔物に対応するため。

 長い年月をかけて進化を果たした新人類の一種で、狐や、兎、猫などの動物種の長所を取り入れた人種になる。

 その中で薄血型ウィークブラッドというのは獣人の中でも、特に動物的特徴が、希薄な者達の事だ。


 獣人種は、獣の能力の獲得深度によって、濃血型ヘビーブラッド汎用型ミドルブラッド可変型トランスブラッド薄血型ウィークブラッドの4種が確認されている。


 そして――。


「私達が街で普通に暮らせるようになったのは50年くらい前からだそうですからね……、それまでのクリムシュタットの遺恨もありますし」


 銀狐娘スールアの言う通り。

 獣人は、つい半世紀前まではクリムシュタットという街を中心に、主に奴隷として扱われてきたという経緯がある。

 だから今でも、街に進出してきているのは人に近い薄血型ウィークブラッドか、獣の血の力を自身で調整できる可変型トランスブラッドが大多数を占めている。

 他の2種は今でも、魔物のような扱いを受けることが多いらしい。 


 獣人は、そういったなかなか凄惨な境遇の者たちなのだ。


「それで、……あんた名前なんて言ったっけ……ソナ……なんとか?」


「セナです。セナ・アダストラです、シエナさん」


「ああ、セナね。で、うちらのセンセーになってくれるって?」


「ええ、そういう商談でしたよね」

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