第27話



「何の話?」

「あそこに立っている衛兵のエンブレム……そこに描かれている文字です」


「見えるの!? ここから!?」

「解るんですか……?」

 エメスとスールアの声が同時に発せられた。

 エメスは私の視力に、スールアは古代文字を読めていることに対して驚いたようだ。

 しかし、古代神栄文字は専門家でもなければ、正しく読み解けない。

 私は、いいや、と首を振った。

 さすがに私の知識では、文字の意味までは解らない。

 が、音だけは読み取れる。 

 ア・ム・ヌ・ス・タ・リ。

 ――文字がデザインに寄りすぎていて読みづらいが、衛兵のエンブレムは、アミナストラのモノで間違いないだろう。

 

 教師に試験官を頼まれるくらいの人物だ。

 学園とも良好な関係を気づいていてもおかしい話ではない。

 だからこそ、ギルダーの会社は学園の警備を任されているのだろう。

 

「ボスの居場所を聞いてみますか」 


 私は、正門すぐ傍の衛兵の詰め所に赴いた。

 一般的に、重要な建造物の門扉の傍には、衛兵が『人』『物』『車』の入出場管理を行っている詰め所が設けられていることが多い。


「こんにちは……?」

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