第26話


「ええ。知ってます?」

 私が念を押して尋ねると、「ちょっとまって」とエメナの反応が無くなった。検索中だろうか?

 さすがに、知識はマスターと共有してはいないかな?


 すると、エメスの声がスールアのものに変わる。

「……確か、アミナストラ……だったと思います」


 アミナストラ、それが会社の名前ですか。

「なるほど――」

 私は、『日属性概念強化クレヤボヤンス・オブ・ライト』の術式で自身に視覚強化を施す。

 

 私は足を止めた。

 そして。

 まだ正門には遠いような距離から、門扉の傍に立つ衛兵のエンブレムを確かめる。

 そのデザインは、盾を思わせるワッペンの中央に宝石のような紋章があり、その宝石の縁には、植物の葉か蔦のような意匠が施されている。

 その植物をよく見ると、文字で出来ていた。


「――……古代神栄文字かな……」

 世界にまだ魔神が蔓延っていたような時代の、古い文字だ。 

 世界樹が滅びる前は、魔法が存在しなかった。

 そんな数千年以上前の時代の文字を使っているとなると。

 ギルダーは魔法兵ではないのかもしれない。

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