潜入

第25話

 翌日のお昼ごろ。

 私は、さしあたって、ニルヴァーナ魔法学園を目指していた。


 春には華やかに咲き誇り。

 秋には色づいた木葉に彩られる。

 そんな並木道は今、落ちる木葉が舞い踊る季節の変わり目。

 

 また冬がやってくる。

 そんな予感を感じさせる肌寒さの中。

 整備された石畳を埋め尽くす色とりどりの葉を踏みしめながら。

 

 私は、正門まで一直線にのびる大通りを、歩いている。

 

 目的はギルダーだ。

 ギルダーは、警備会社を営んでいるボスだという。

 そして現在は学園の先生に雇われているという。

 ならば、会社か学園に居る可能性が高いと思い、まず住所が解っている学園を目指しているわけだが。


「……そういえば、ギルダーの経営している警備会社の名って、分かります?」


 そろそろ学園の古めかしい建物と、そこに続く門が見えてくる。

 そんな頃合いに。


 私は、肩に乗っている人形エメスに話しかけた。

 視線を向けようにも、当然ながら見えるエメスの姿は、着ているドレスの裾くらいのものだが。

 耳元でモゾモゾと動く気配だけがして。

 くすぐったく思っていると、


「私に聞いてるの?」

 さらにこそばゆい吐息が、私の耳を虐めてくる。

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