第4話

「なっ!?」


 その驚きの声は、少女らしき音色だ。

 そして、雷の攻撃を放った者の声でもある。


 巨大なゴーレムの奥には、ヒトが居たのだ。


 ハルバードのような得物を手にする小さなシルエットが、ゴーレムに対して躍りかかり、雷の魔力を乗せた一撃を、繰り出した。


 そしてその攻撃範囲の行く末には、ゴーレムのすぐ背後にいるこの私も含まれていた。

 

 だから私は防御の魔術を唱えた。


 結果、私は無傷だったが。


 同時に、ゴーレムも無傷だった。

 誰の仕業かは知らないし、なぜここに居るのかも不明だが、魔銀製の魔導機兵ミスリルゴーレムは強敵だ。


 今しがたの無礼もある。


 雷の少女が、この巨体じゃまものを排除するというのなら私も加勢するべきだろう。

 そう思った。


 けれど。


「――……まさか人がいたなんて……」


 雷使いとは別の少女の声が、頭上から降り注ぐ。

 その巨体を見上げ、よく見ると、肩の上に人の影が見える。

 

 ――つまり、魔銀製の魔導機兵ミスリルゴーレムの飼い主……おそらく『ごん属性』と『属性』をメインとして使用する魔術師だろう、しかもゴーレムの各所に刻まれた陣プログラムを見るに、かなりの手練れだ。


 そして。

 

「あたしの技を防いだ? 咄嗟に、魔術で……?」


 ハルバードを握る少女は、驚いている様子だった。

 その頭には、キツネのような耳が見え、ふさふさの尻尾も見える。

 そのすべての色彩は、金色だった。 


「――……獣人? ……狐の……?」

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