第5話


 

 ゴーレムが、ずしりずしりと、重々しい足音を轟かせて、方向転換する。

 私の方に向けて。


 付与した暗視が、魔銀製の魔導機兵ミスリルゴーレムを駆る少女を捉える。

 光沢のある金属質に、腕部の大きなゴリラのような形態の魔導機兵。

 それに乗る少女もまた、狐の獣人のようだった。

 ただし、色彩は銀色だ。


 金狼、銀狼ならぬ、金狐、銀狐だった。


 10代前半の年頃に見える両者はよく似ていて、双子かもしれない。

 だとしたら、両者が敵対しているとは限らないはずだ。

 むしろ――、


「あんた何者?」

 ――今両者の敵意は私に向きつつあった。


 金色の娘に、ハルバードを突きつけられる。


 私は両の手を上げて、無抵抗をアピールしつつ。


「ごめんなさい。ただの魔術師です、通りすがりの」


 はぁ? と金色の娘に疑いの目を向けられる。


「いったい、何をしていたんですか?」

 銀色の少女に、ゴーレムの高所から問われる。


「本当にただの通りすがり……というか少し気になって見に来ただけですって」

 

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