第2話

 それでも悪態を吐きたくなるくらい歩きにくかった。


 こんな場所を往くのは、狩人や、薬草採りか、あるいは近隣をパトロールしている王都直属の騎馬兵隊か、雇われの魔物狩りくらいのものだろう。

 錬金術師という線もあるかもしれない。


 しかし、目指している森は、比較的魔物が多い場所でもある。

 少なくとも、生粋の魔術師が一人で往くようなところではない。

 軍部志望ならまだしも、魔術師というのは、基本的に魔物や獣と戦うには向いていないからだ。


 そんな目指す森の近くに来ると、微かに周囲に雷属性の現象核オリジンが散っているのが解る。

 雷の現象核オリジンが地表近くにあることは稀なので、何者かが、魔術、あるいは魔法を使った証だろう。


 

 私は森の中に入り、さらに奥に進む。


 すると、夜のコントラストに目立つ、眩い輝きが視界に入ってくる。


 そして濃くなる雷の現象核オリジン

 それと、僅かに漂うごん属性。


 

 声が聞こえてくる。

 咆哮のような、叫びのような。


 私は茂みをかき分け、音と光の方へ進む。


 すると見えた。


 3メートルはあろうかという、大きなシルエット。

 

 その背中が。


「これは……魔銀製の魔導機兵ミスリルゴーレム!?」

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