第19話

 無属性の魔力を纏うことで簡易的な障壁代わりにし、ある程度、雷の魔力に耐えたとはいえ、その影響は少なくなかった。

 痺れてしまった両手では、暫く大剣を握ることは難しいだろう。

 そんな視界の中で、地面に転がった大剣ツヴァイハンダーが、サラサラと残滓となって消失していく。


「……相打ちといったところですか……」


 シエナは痛めたであろう左手をぶらつかせながら。

「なにそれ、謙遜? ……あの瞬間で、弱体化の術式を組むなんて……なんて精度してるのよ」


 私は微笑を向ける。


「先生ですからね」


 私が膝蹴りと共にシエナに施したのは、木属性の概念弱化術式で、相手の魔気オド魔素マナと組みつく精度を劣化させ、三気合成トリブレンドの確実性を落とす弱体化の術式だった。

 つまり、瞬間で作り出せる魔力量が減少するというわけだ。


 

 そして。

「シエナにもう勝ち目はありませんね」

 ジャッジ係、というわけでもなかったが、見届け人のスールアから審判が下された。

 

 一応聞いてみよう。

「スールアさん、なぜ、そう思います? 私は暫く武器を持てなさそうなので、とても不利になった筈ですけど……」

 私は小刻みに震える痺れた手を、スールアに見せる。

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