第18話



「――魔力開放!」


 私は、大剣の刀身のみならず、全身に魔力を纏いつつ、ほこを半身で躱し、つかを全力で斬り上げることで軌道を逸らす。


 がきぃん、と金属同士の奏でる残響が轟き。

 そのまま、私の左側を通り過ぎる筈のシエナのボディに向けて。

 

 カウンター気味に突き出した『左膝』をお見舞いする。


「ッぐ!?」


 けれどさすが獣人の反射速度だ。

 シエナは咄嗟に、左腕の籠手で膝をブロックする。

 が、自身の突進力が仇になって痛打の様相だ。


 しかし、何度もこんな受け方は出来ない。

 だから対策を叩き込ませてもらう。


「――『魔素結合阻害ビトレイ・オブ・ウッド』!!」

 最接近したタイミングで術式を一つ被せた。



 膝蹴りの反動で吹き飛ばされそうなのを、身軽に受け身を取るシルエット。

 距離を取って着地を決めた、シエナの表情は険しい。


 そうして私の手から大剣が零れ落ち、甲高い音を響かせた。

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