第17話
森で勝負した時と違い、今回は互いに互いの魔術を観察する余裕がある。
だから、シエナは気づいたのだろう。
私の術式の質に。
数段低い材質でありながら、己のミスリルと同等の能力を発揮するであろう私の大剣に向けられるシエナの顔は、引き気味だった。
しかし構わない。
生徒に何と思われようと、私は私の授業をするのみ。
「どうぞ、好きなだけ参考にしてください」
「そうね……」
シエナが、背を向け、歩いて私との距離を開ける。
「……できるものならそうする。――でも!」
定位置に着くと、くるりと踵を返し。
腰を落とし。
ひゅるりと回した長物を構える姿は――既に猛獣の臨戦。
そして――。
「あたしは、術師めざしてんじゃないのよ!」
その悪態の瞬間。
シエナの足元から砂煙が上がった。
――と思えば、その姿は既に、私の目前に迫っていた。
「……ッ!?」
なんて瞬発力だ。
獣人の潜在的な身体能力に、鍛え上げられた脚力をプラスした一足が、強靭な一歩を実現したのだ。
加えてハルバードに伝えられる雷の魔力――。
「黒竜派――
その速度と突進力を活かした突きが放たれる。
まさに電光石火。轟雷を纏わせた情け容赦のない
これは威力もさることながら、周囲に迸る雷が掠っただけでも、感電は免れない。
加えてハルバードに伝う雷の魔力を完全に打ち消せるのは熱の魔力だけだ。
術式では無いため、
ならば。
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