第29話
「……こちらで連絡してみましょうか?」
詰所には、通信設備でも置いてあるのだろうか。
通信用の魔道具は開発が滞っているはずだが……。
「できるのですか?」
「ええ……簡単な通信魔術でしたら、使えますので」
なるほど、受付嬢も魔術師だったらしい。
むしろ、かなり若い見た目の受付嬢さんだが、もしや学生のアルバイトだったりするのだろうか?
「ああ、でも結構です。うちの受講生にこの人形を届けるついでがありますから」
私は、完全に人形のフリをして、くてん、となっているエメスを示す。
これで、この人形も怪しまれたりはしないと思うのだが。
「――解りました。ではこちらに記入をお願いします」
そうして、私はカウンターの紙に必要事項を記入する。
「とんがり帽子は不要で構いませんね?」
「ええ、大丈夫です」
とんがり帽子は、学園の生徒が実習などでも身に着ける防具の一種だ。
高い魔力吸収力を誇る魔道具でもあり、魔術的な事故に対して非常に堅牢な性能を持っている。
恐らく貸し出しも行っているのだろう。
だが、私が被っている二股のピエロのような魔術帽子はそれ以上の一品なので、不要なのだ。
そして、入場許可証を受け取って、私は学園内に潜入を果たした。
さて、ギルダーはどこかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます