第7話

 巨体が私の視界を遮った。


 私の意図に気づいたのかどうかはわからないが、金色の娘を守るような行動に見える。


 さらに近づいた頭上から。

「とても若そうに見えるけど……。何処の所属ですか? 魔術師ギルド? それともニルヴァーナの生徒?」

 銀色の娘の問いかけ。


 私は、精いっぱいの笑顔で人畜無害をアピールしつつ。


「私はフリーの魔術講師ですよ。学園ともギルドとも無関係です」

 

「フリーの? 講師ってことは先生? その若さで?」


「ええ? ちょうど今、仕事も無くて困っているんですけどね?」 


「へえ?」


「確かに、校章は見えないですね」


「どう思う? スールア」

「シエナは?」

 どうやら、金色娘はシエナ、銀色娘はスールアという名前らしい。


 ゴーレムが距離を取り。

 そして槍の穂先が引っ込んだ。

 警戒が緩んだようだ。



「いちおう聞くけど、あんた名前は?」

ハルバードを肩に担ぎ直しつつ、金色狐娘シエナに問われる。


「セナ・アダストラです」


「ふうん、確かに、学園の先生にそんな名前は居た記憶が無いけど……あんた、ただの術師じゃないでしょ?」


「若く見えるけど、技術は本物みたいですね。あの一瞬で、防御の術式を組み上げてましたし」


「まぁ、教師ですからね。 ――それより、良かったらそちらが何をしていたのかも、聞かせていただけません?」

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