第23話

「――もしや、視覚共有……ですか?」


 スールアは僅かに微笑む。

「さすが先生です。――行かれるのですよね。私はシエナを見ておきますので」


 いえ、私のやろうとしていることを察する辺りそちらもなかなかですね。

「――解りました。言っておきますがこれは特別サービスですからね?」


「ええ。ありがとうございます。……エメスをよろしくお願いしますね」


 エメス。

 それはたぶん、人形の、しいてはゴーレムの名前だろう。

 魔術で作ったゴーレムに名前を付けるとは……よほどの相棒なのだろう。

 そして、名前を付けて固定化してしまったゴーレムは、もはや契約精霊や、召喚獣に等しい存在だ。

 大切に扱おう。

 私が、身長40センチはあるエメスを抱いて受け取ろうとした時。

 人形にはめ込まれたアイが、動いた。


「!?」


「――エメス、先生に迷惑はかけないようにね」

 

 そして、その一言で、エメスは動き出した。

 

「あら、人形のふりはお終い? マスター?」


 その瞬間から。

 手も足も、指先も。

 すべての関節が。

 意志を持って動き出す。

 

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