第21話

「なんで!? 負けるかもしれないのに!?」


「そうです。負けてほしいと言っているのです。相手がどんな力量か見えなければ対策も立てれないですからね。さすがに試験じゃ無ければ落ちたりはしないでしょう?」


「やだ。……負けるために戦うなんて。絶対いや!」


 シエナは腕を組んでそっぽを向き、頑なに拒み続けた。

 おっきなキツネ耳が真横に倒れているので、本当に嫌なのだろう。


「仕方がありませんね……今日の続きはまた今度です」


 先にやらなければいけないことが増えましたからね。

 

「――では、代わりにシエナさんには私から宿題を一つ言い渡しておきます」


「宿題ぃぃ……!?」

 露骨に嫌そうな顔をされる。

 

「ええ」

 私は、カバンから『フイユの術式図鑑ー黄系魔術ー』というタイトルの魔術書を取り出し、ページをめくってシエナに見せつつ。


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