概要
昼は静謐なビジネス・タウン、夜は歓楽街と摩天楼。
昼夜で異なる姿を見せる大規模な都市、シアハニー市のロザー・シェレフ地区、俗称で〝地獄〟と呼ばれる場所に生を受けたデュランは、したたかに生きていた。
彼は、アイベリー地区、〝天国〟で生まれた少女アネモネに出会い、彼女に恋をする。
主人公とヒロインは純愛ですが、周りの環境に引き裂かれてしまいます。痛み、悲しみ、苦しみ、その中でもわずかに輝く愛がテーマです。
リハビリ代わりに書き始めた話なので不定期更新です。
タグに(予定)が多くてすみません。構想通りにいけばタグのとおりになりますが、変わるかもしれません。
全九話予定。→番外編込みで全十話になりま
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あまりにも残酷 ―けれども、この物語には水蜜桃のような愛と優しさがある
愛と喪失、希望と絶望といった普遍的な人間ドラマが描かれた秀作です。
主人公、デュランはスラムに生まれ、かつては美しかったが今は心身ともに壊れてしまった母と苦悩の人生を歩んでいます。そんな彼の元に現れた無垢な少女、アネモネ。
かたや地獄と揶揄される”スラム街”。もう一方は”天国”と呼ばれる富裕地区。そんな両極の場所に生まれた二人の逢瀬は切なく、やわらかで甘酸っぱい。やがて訪れるであろう予想通りの暗い未来を目の前にして――
二人の別れの以後に、デュランが堕ちてゆく様は、読むのが辛くなるほど残虐で凄惨なシーンの連続です。もし、この小説が映像化されたら、私は見ることはできないでしょう。ですが、作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これは「砂糖水の悲しみ」だ
砂糖水の悲しみ、というもの存在を感じています。
例えば、出かけたいのにどうしてもカギが見つからなかったり、
デートに遅れたせいで彼女を泣かせてしまった後の港の遊園地だったり、
ケーキ屋のケーキを自分のために手に入れてひとしきり貪り食ったり、
私はそういうもののことを「砂糖水の悲しみ」と呼んでいます。
この作品には、誰も加害しない、誰も巻き込まない、誰も犠牲者にしない、
苦しみや闇を欲するためにキャラクターのアイデンティティ以上に
キャラクターの境遇を穢さないし、ストーリーの本筋にかかわりのない
残虐なことはしない。悪の側から見た勧善懲悪とでも言いましょうか・・・。
欲する 与えたい 罪…続きを読む - ★★★ Excellent!!!深く、深く…沈んでいく。愛という名の、血の海の底へ…
抑えきれない愛情、抑えきれない憎しみ、そしてその果ての狂気。
衝撃的すぎる展開に圧倒され、息をのみ、涙してしまいました。
まるで深夜の映画館で何時間も食い入って観たような
その余韻に浸って丸一日物想いに耽ってしまえそうな
そんな読後感を味わえました。
愛と憎しみは、紙一重であるように思います。
愛するからこそ、人は苦しみ、憎み、
手に入らない幸せを妬み、復讐する…
そこには本当はたくさんの愛が溢れていたのに
どれも手に掴むことはできない…
そのボタンの掛け違えが、1つでも違っていたら…
…そう思わずにはいられません。
デュランの生きてきた地獄のように長く、短い人生に
胸が締め付けら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これは問題作です。その評価は最後まで読んであなた自身で決めて下さい。
章が始まる区切りの度に入る、作者からの警告文。
この作品には残酷な描写があります。不快な描写があります。拷問の描写があります。等等……この作者は作品読んで欲しくないのかと思う程……しかし、一番の問題は心が持っていかれる所にあります。余りにも激しい心理描写のために、心が揺さぶられて冷静に読んでなんていられないのですよ!確かに残酷だったり不快だったりする描写はあるかもしれません。ですが、そんな事で読むのをやめずにどうか最後まで読んでください。一番最後まで読み終わった時に、この作品の本当の価値が判ると思います。