「光の聖域」に生まれた少女 アンネ。
優雅で穏やかな世界に生きる彼女は、外の世界を知らずに育ってきた。
だが16歳の誕生日、彼女は知ることになる。
影のヒトとの結びつきが、決して穏やかなものではないことを――。
そして、その日、彼女の前に現れたのは ジル。
「キミは僕を知らない。でも、僕はずっとキミを見ていたよ。」
影の空間から、ずっとアンネを見守り続けていた少年。
彼が選んだのは、ただひとりの光。
そして彼は確信していた――
「僕が選んだんだから、キミも僕を選ぶに決まってるよね?」
これは宿命か、それとも禁忌か――。
光と影が惹かれ合うのは必然なのか、それとも抗えない運命なのか。
光と影。それは永遠に続く対立の構図で多くの物語が紡がれてきました。本作もそれに連なります。
構図を示すために序盤で描かれる影サイドは、粋がって格好つけたところがあります。これには、露悪、という言葉があります。見せびらかす悪。
しかし実の悪は隠されるもの。それはいかなるものか。読み進めていくと目を覆いたくなるものを見ます。でも、見るのですよ、世界の実相を。
世界と戦う姿は壮絶です。脳内麻薬をドバドバ放出していないとやってられない、そんなハイな気分を味わえることを請け負います。
それでも。
作品の基調は少年の恋。紹介に、不器用、とあるように、女性を口説く手管を知らず、自らの衝動を抑える術も持たず、それでも相手を慮って自らの危険をいとわない、そんな青い恋です。
世界の実相が闇そのものである中で、善も悪もなく不器用に相手を想う恋が清涼な風をもたらす、そのような物語です。そして、それもまた本作が描く対立の一つです。
異質なもののサンドイッチ、どうぞ召し上がれ。